2021年7月時点、特定の地域から日本へ入国する際、強制的に3日間から10日間の隔離を強いられます。
このページではその時の様子を実体験を元に紹介します。
なお「特定の地域」は日々追加または除外されているので、厚生労働省のウェブサイト「帰国・再入国されるみなさまへ」で最新情報を確認したうえで、このページに書いてあることは古い情報として割り切って読んでください。
強制隔離の詳細について
ここで紹介する強制隔離とは、コロナの変異株や感染者数が増加している地域から日本へ渡航する人に対して、3日間から10日間の特別的な隔離措置のことです。
あまり知られていない措置なので、海外から日本へ帰国する際には注意しなければいけないポイントです。
対象地域
2021年7月7日時点、アメリカの一部の州をはじめ、スペイン、ロシア、オランダ、イギリス、タイ、インド、アフガニスタン、インドネシアなどの地域が対象です。
ちなみに、アメリカは以下の州が対象でした。(2021年7月7日時点)
アイダホ州、アーカンソー州、アリゾナ州、オレゴン州、ケンタッキー州、コロラド州、ネバダ州、ミシシッピ州、モンタナ州、ルイジアナ州、ワシントン州、ニューメキシコ州、ユタ州、ワイオミング州
対象地域は日々更新されているため、最新情報は厚生労働省のウェブサイトを確認してください。(非常に分かりづらい文章でまとめてあるので注意してください)
この強制隔離措置を日本に到着してから初めて知る人も多いため、気をつけましょう。
もし、知らずに帰国した場合、空港までの送迎をはじめとする、滞在先での予定すべてを変更せざるを得なくなります。
隔離期間
隔離される期間は地域によって異なり、アメリカは3日間、イギリスは6日間、インドは10日間となっています。
最低3日間、最大10日間の強制的な隔離があり、この後に14日間の待機期間措置があります。
隔離期間も日々更新されているので、厚生労働省のウェブサイトを参考にしてください。(非常に分かりづらい文章でまとめてあるので注意してください)
14日間の待機期間(自主隔離期間)については【実体験】14日間の待機期間とは?罰則は?やってはいけないことで詳しく紹介しています。
内容
厚生労働省が指定(手配)する宿泊施設において、指定期間(3日から10日間)の隔離生活を送ります。
日本入国時に受けるコロナのテスト結果が陰性であっても強制的に隔離されます。
隔離期間中は部屋から一歩も出られません。
自動販売機やコンビニ、喫煙所、ランドリールーム、ジムなども利用できません。
健康観察チャット(体調報告)
隔離期間中は毎朝8時頃に体温を測り、専用ウェブサイトを通じて体温と体調を報告する「健康観察チャット」が義務付けられています。
作業そのものは数分で完了しますが、メールアドレスや生年月日、年齢、身長、体重など個人情報の提供が必須です。
お子様がいる場合、保護者が全員分を代理で報告しなければいけません。
退所は?
入所翌日を起点として3日目または6日目または10日目の早朝に唾液検査を受け、陰性であればその日の午後4時から午後5時頃に退所できます。
検査結果に時間を要した場合や再検査が生じた場合は、最終日翌日の午前10時頃に退所となります。
例えば、1月1日に入所した場合、1月2日を初日としてカウントするため、1月4日に退所するイメージです。(3日間の場合)
筆者が滞在したホテルでは、最終日の午後4時と午後6時、最終日翌日の午前10時の3つから退所時間を選べました。
場所は?
基本的には到着空港近くのビジネスホテルに滞在することになります。
成田空港着の場合、ターミナルからバスで10分程度のビジネスホテルでした。
羽田空港着の場合、バスで30分程度かかる横浜市内のビジネスホテルが対象です。
滞在先の指定や希望は一切受け付けてもらえません。
また、隔離終了後は到着空港まで連れ戻されるため、ホテルに迎えに来てもらうことはできません。
移動は?
空港から滞在先までは専用バスが手配されます。
空港から滞在先、滞在先から空港のみの移動となり、すべて厳格にチェックされるため、身勝手な行動はとれません。
到着空港から滞在先へ向かう際にはバスの手配があるため、1時間くらい待たされます。
筆者は午後4時に空港に到着しましたが、バスで空港を出たのは午後8時40分頃でした。
費用負担は?
一切かかりません。
滞在先によっては世話役のスタッフがコンビニまで買い物を代行してくれる場合もありますが、その際の費用は実費となります。(現金払いのみ)
強制隔離措置の実体験
当方は強制隔離措置の対象地域であるアメリカ(アリゾナ州)からの帰国だったため、3日間の隔離生活を強いられました。
その時の実体験を元に気になるポイントを紹介します。
到着空港での様子は【2021年7月の実体験】コロナ帰国の空港での流れやヒントで詳しく紹介しています。
全体的な感想
予想以上に快適に過ごせました。
滞在先は普段であればビジネスホテルとして使われる場所なので、最低限の設備が整っており、清潔です。
また、世話役のスタッフが大勢いたため、VIP待遇を受けているようでした。
ただし、宿泊先の環境やスタッフ応対は場所ごとに異なるでしょうから、必ずしも我慢できるとは限りません。
「刑務所のようだった」との感想を持つ人もいることから、運もあるかもしれません。
どんな設備だった?
- シングルベッドふたつ
- パソコンデスク&椅子
- テレビ
- Wi-Fi
- 電気ケトル
- コーヒーカップふたつ
- 冷蔵庫
- ウォシュレットトイレ
- 冷暖房
- スリッパふたつ
- 歯ブラシ3日分
- ハンガー5つ
これらの備品は、滞在先となるホテルの設備に依存するため、運が悪ければもっと貧相な物になるでしょう。
部屋およびバスルームの換気扇は機能しないようになっています。
シーツ、タオル、枕カバーなどはリクエストすれば新調してもらえます。(交換作業は自分でする)
食事は?
3食すべてお弁当です。
7:00から8:00に朝食、11:00から12:00に昼食、17:00から18:00に夕食がドアの前まで届けられます。
チェックイン時にアレルギーの有無やベジタリアンなど、食事に関していくつかの質問を受けます。
毎食、紙パックのジュースとお茶がセットになっていました。
部屋に電子レンジがない場合は、冷めたお弁当を食べることになります。(リクエストすれば温めてくれるはず)
決して美味しいとは言えませんが、海外から帰国した人からすれば(とくにアメリカ)どれも美味しく感じると思います。
ちなみに、水はリクエストすればいくらでも手配してくれます。
間食はありませんので、お子様連れは買い物代行を相談するか、出発前に多めに用意しておくのがおすすめです。
飲酒は?
できません。
万が一、体調不良が起きた場合に原因が特定しにくくなるためです。
ただし、免税店で購入したお酒を飲むことは実質的に可能なため、制度自体は甘いかもしれません。
喫煙は?
喫煙は喫煙可能な部屋が割り当てられれば可能で、チェックイン時にリクエストできます。
一切の外出が禁止されているため、共有の喫煙スペースや屋上などは利用できません。
コンビニ行ける?
行けません。
滞在中は一切の外出ができません。
世話役のスタッフが買い物を代行してくれるので、相談してみましょう。
ちなみに、筆者の滞在先では8:00から10:00と17:00から20:00まで買い物代行サービスに対応してくれました。
コンビニで入手できる物であれば手配してもらえます。
インターネットは?
無料で利用できます。
宿泊先の設備に依存しますが、高速のWi-Fiが使い放題なので、インターネットに困ることはありません。
何をして過ごすの?
寝るかインターネットです。
そもそも、この強制隔離対象者は海外から帰国したばかりの人たちなので、時差ボケや旅の疲れを抱えています。
睡眠、インターネット、テレビ視聴、読書、荷物の整理くらいしかすることがありません。
家族とは別部屋?
選べるようです。
滞在先に到着するとチェックインのような作業があり、その際に同行している家族構成を聞かれ、家族と同室にするかどうかを選択できるようです。
ただし、最低3日間は閉鎖された狭い空間で過ごすことになるので、部屋割りは慎重になった方が良いでしょう。
身の回りの世話は?
滞在中は世話役のスタッフがすべてやってくれます。
例えば、食事の運搬、荷物の搬送、ゴミの回収、シーツやタオルの交換、買い物代行、トラブル対応など、あらゆることに協力してくれます。
筆者が滞在したホテルでは、日本語が堪能なアジア系外国人スタッフが大勢いました。
案内は?
世話役のスタッフが対応してくれます。
具体的には、配膳の案内、検査キットの配布案内、検査キット回収の案内、退所日の案内など、すべて世話役のスタッフが仕切ってくれます。
筆者が滞在したホテルでは、食事や検査などについてはその都度放送で案内されました。(日本語と英語)
子連れでも大丈夫?
かなり大変だと思います。
まず、空港到着から滞在先への移動までに4時間以上かかります。(大半が待ち時間で飲み物しか買えない)
そして、滞在先では狭い空間に最低3日間は閉じ込められます。
お子様が飽きることや、時差ぼけ、長旅の疲れに加えてさらに疲れることが続くので、体調を崩す可能性は高いでしょう。
事実、小学生くらいのお子様が疲れ切ってぐったりしているのを見かけました。
できるだけ強制隔離を受けずに済む旅程を組むことをおすすめします。
お問い合わせ先
強制隔離措置の対象地域と対象期間は日々変動します。
前もって以下の連絡先に問い合せることをおすすめします。
アメリカから日本へ帰国する際に知っておきたいことは【アメリカ→日本】帰国時の流れや自主隔離、コロナの影響は?も参考にしてください。
まとめ
変異株や感染者数が増えている地域からの渡航は強制隔離の対象なので非常に大変です。
余程の事情がない限り、強制隔離措置を受けずに済む旅程を組むことを強くお勧めします。